BIG TOEのインタビュー
第六回 中武克雄
2003年のトップを飾るインタビューは2002年ミスター関西優勝、プロの競輪選手でありながらボディビルでも活躍されている中武克雄選手に登場していただきます。(2003.1)
スポーツジム B&F所属)

「まず、酒を飲め!!」
プロフィール

1964年3月28日生
大阪市阿倍野区在住

(ボディサイズ)
身長・・・170cm
体重(オフ)・・・85・6kg。
体重(オン)・・・75kg
最大胸囲・・・118cmぐらい
最大腕囲・・・43cm
大腿囲・・・68cm

(パワー)
ベンチプレス・・・オフで160kg
スクワット・・・180kg(パワー系スクワット)
デッドリフト・・・180kg(ほとんどやりません。)
カール・・・50kgx8レップス(ストリクト)

(ボ歴)・・・6年目(ウエイトトレーニングは25年やってます。)

(コンテスト歴)
’02年ミスター関西優勝
’03年ミスター大阪優勝
’07年ジャパンオープン優勝

(自転車)
国民体育大会5連覇
全日本自転車競技大会3連覇
全日本実業団選手権大会3連覇
ロサンゼルスオリンピック日本代表
BIG TOE:中武さん、本日はお忙しいところありがとうございます。遅ればせながらミスター関西優勝おめでとうございます。プロの競輪選手でありながらボディビルでも活躍されている中武選手、これからはミスター日本、そして世界へと飛躍することを期待しています。
さて、早速ですが、インタビューいかせてもらいますんでヨロシク!!

まずはトレイニーの皆さんが一番聞きたいと思っておられる トレーニング についてお伺いします。
○その太い脚をつくる秘訣は? 自分の場合、自転車で作り上げた脚ですから自転車のトレーニングがメインです。ウエイトはフル稼働、フルスクワット。+?としてレッグプレスをクオーター、高重量で刺激を与えるようにしています。
まずフル稼働で基本をしっかり、基本的なトレーニングをまずしっかりやることが大切と思います。
自分の場合、自転車で有酸素系つまり遅筋が普通の人より発達していますから、白筋を刺激するためにウエイトトレーニングを取り入れています。
○その太い脚からは予想外の軽いウエイトでトレーニングされていますよね。 フルスクワットで10レップスきっちりできる重さです。
自分の場合、トレーニングで故障、怪我をしないことが大事なんです。10レップスできっちり追い込みます。
○競輪とボディビルのトレーニングをされているわけですが、やはり本業の競輪に主眼をおいたトレーニングですよね。 脚は、競輪に主眼を置き、他は体力作りという目的です。1時間は競輪、1時間はボディビルのトレーニングという感じです。基本的に5分割ですが、競輪のレースの配分、ローテーションによって頻度や順番は変えるようにしています。
○ウエイトトレーニングが仕事に影響を与えませんか。 基本的にウエイトトレーニングでオーバーワークは無いですね。
今のやり方は、乳酸に耐える筋肉を作るトレーニング、競輪にあわせその最低3日前には、その練習は終わるようにしています。
つまり乳酸を貯めるような、乳酸値をあげるようなトレーニングをしています。具体的には、もう上がらないというところからさらにチーティングで10レップス追い込むとかですね。
○ウエイトトレーニングによってすぐに筋肉がパンプアップして乳酸が溜まりやすくなりませんか? そんなことはないですね。筋肉の量が増えるのは、早い回転で脚を回さなければならないので重さが-になることはあっても、トレーニングが-になることはありません。筋量が増えると大は小を兼ねるので、出る力とスピードは比例すると考えています
○オーバーワークという言葉がでましたが、オーバーワークについての考えを聞かせていただけませんか。 各部位3日インターバルがあれば、オーバーワークは無いと思います。ただ、何もしないでほったらかしの状態やったらトレーニングをした状態で筋肉が固まってしまう状態になって別でしょうが。
ちゃんとストレッチやトレーニング後に乳酸を除去してくれるよぷなサプリメント、ないし栄養素を摂っているかどうか。マッサージ等の手入れをきっちり怠らずやっていればオーバーワークはないですね。
最近、追い込むような厳しいトレーニングもせずに、知識としてオーバーワークという言葉が独り歩きしている気がします。そこまで追い込むことが出来ないレベルでオーバーワークはないでしょう。
○バルクアップのポイントは? フル稼働で基本をしっかり、基本的なトレーニングをまずしっかりやること。角度よりワンレップをきっちり絞り込み爆発力を上げてます。筋肉が動かなくなるまで追い込む。
○減量のポイントは? まず、練習量を上げる。有酸素系のバイクをウエイトトレーニングのあと約1時間取り入れます。
ウエイトトレーニングは、種目を増やし色々な角度から筋肉を刺激します。重量、レップス、セット数、やっている内容はほとんど変わりません。
準備期間も入れて4ヶ月くらいかけ、筋肉をほとんど落とさずにいけますよ。
○1回のトレーニング時間はどのくらい? オフは、2時間以内が目標です。オンは、3時間以内。コンテストが近くなると3時間。有酸素運動を50分くらいとりますから合計4時間ですね。
○トレーニングで各部位の頻度は? 2週間で3回まわるくらいですね。
○好きな種目は?好きな部位は? どれと言うのはありませんが、トレーニング自体がすきです。特に自分の弱点部位を克服する種目、トレーニングが好きですね。
○多用するテクニックは? オーソドックスなセット法が主です。8レップス×5セットが基本。重量は8回出来るウエイトで追い込んで筋肉が動かなくなると8回出来るウエイトにドロップさせます。
○トレーニングの特徴があれば? 特徴ですか・・・。筋肉がうごかなくなるまでやることですね。
中武選手のトレーニングをまとめると・・・
◎脚は、競輪に主眼を置き、他は体力作りという目的で。
◎基本的に5分割で2週間で3回まわるくらい。
◎オーソドックスなセット法8レップス×5セットが基本。
筋肉がうごかなくなるまでやる。
脚は自転車のトレーニングがメイン。ウエイトはフル稼働、フルスクワット。+?としてレッグプレスをクオーター、高重量で刺激を与える。フルスクワットで10レップスきっちりできる重さ。
◎トレーニングで故障、怪我をしないことが大事。
◎減量は、まず練習量を上げる。
自分の弱点部位を克服する種目、トレーニングが好き。
・・・と言ったところでしょうか。さすがプロのスポーツ選手ですね。すべてが前向き。ポジティブです。見習わんと。(BIG TOE)
次は 食事 についてお伺いします。
○バルクアップ時に心がけていることは? 「まず、酒を飲め!!」です。トレーニングが終わった直後に酒を飲めです(笑)。
飲めない人はオレンジジュースでかまいませんが、自分の場合、お酒で食欲を上げ、練習で内臓にも負担がかかっているので、まず内臓に負担をかけずに疲れた体にどれだけ多くの栄養素を回すのが課題ですから「まず、酒を飲む。」ですね(笑)。
食事は、オーソドックスな内容です。オンとオフで違うのは、晩飯の量だけ。オフは、ご飯1杯にビール1リットル+ワイン、日本酒です。
ただ、次の日に残るくらい普段の晩酌ではしませんけど。あくまで食欲増進が目的。同じジムの岩尾さんのように大量に食べるほうではないんで、そういう人たちと見合うカロリーを摂る為に酒を入れたほうが僕には楽なんですよ。
○減量時に心がけていることは? 飯を減らし、ビールを350mlに減らします。次に油の少ない肉、から揚げ、天ぷらを減らします
ささみはほとんど食べません。カロリーを落として鶏の胸肉程度ですね。
オンだからは、意識しますが、オフだからは意識しません。オンのときは、普通の食事を段階的に落としていくだけです。
○サプリメントは何を摂っていますか? クレアチンプロテイン。練習中にBCAAアミノ酸。あとは、総合ビタミンですね。
減量時に、ファットバーナー系サプリメントを摂ることもあります。
○お酒、タバコについて お酒はサプリメントです。お酒は筋肥大のサプリメントです(笑)。酒を入れることによって、さらに食べ摂取カロリーを上げることが出来ますからね。
肝臓に悪いという人もいますが、食べ物を大量に摂るほうが他の内臓に悪いですよ。思うに、結局、内臓の能力が強いか弱いかによって筋肥大に影響が出てきます。それに耐える能力があってさらに上を目指せるんです。
バルクのある選手は、食べることでも豪快ですよね。
日本人は、意固地に真面目さを強調し、禁欲を良しとしますが、こうしなければならないという考えでは上は目指せません。
タバコについては、吸うのが嫌いなので吸いません。ボディビルは、心肺機能を競うスポーツではないので、タバコが直接的に弊害があるとは思いませんね。まあ、吸わないほうが呼吸も楽だし、インターバルの回復力も上がると思いますが。
私も、現役時代に減量中でもビールやチューハイを飲んでましたね。液体は脂肪にならないと自分に都合のいい解釈をしたりして(笑)。
まあ、これが、適度なカロリー摂取になっていたように思いますが。(BIG  TOE)
僕もそう思います。その代わり炭水化物のご飯はやめますが。僕は、満腹感よりも、自分が食べたいものを食べることによって精神が納得するんですよ。空腹感に耐えられないご飯食いの人には辛いかもしれませんが。(中武)
○トレーニングのところで乳酸を除去するサプリメントと言われましたが・・。 飲んでますね。黒酢とリンゴ酢を混ぜたものです。サプリメントではクエン酸ですが、出来るだけナチュラルなものを摂りたいですね。
バルクアップ時には「まず、酒を飲め!!」さすが宴会部長中武選手ならではの言葉(笑)。でも、中武選手が言うと妙に説得力が・・・(爆笑)。
減量時は、まず「練習量を上げる」それから飯を減らし、ビールを350mlに減らす。次に油の少ない肉、から揚げ、天ぷらを減らす。
サプリメントはクレアチンプロテイン。練習中にBCAAアミノ酸。あとは、総合ビタミン。
「お酒は筋肥大のサプリメント」
乳酸を除去するサプリメントとして「黒酢とリンゴ酢」を混ぜたものと言うのも特徴的でしたね。
(BIG TOE)
その他の質問です。
○ボディビルを始めたきっかけは? 6年前、自転車で鎖骨を折る怪我をして、トレーニングがまったく出来なくて体重が90kgまで増えてしまったんですよ。
練習を再開し食事とトレーニングで半年で80kgまで落としたんですが、モチベーションを維持するために塚本会長の勧めでジムコン出場を決めました。ジムコンが終わったあと1ヶ月後にミスター大阪コンテストがあったんで「そこまで頑張ってみよか。」と思い出場しました。出たがりですし、6位以内に入ってフリーポーズをとることが目標でした。それから火がつきましたね。
97年、井上選手が優勝した年でした。
○ボディビルをやってて良かったことは? コンテストは楽しい!!ステージに出る前にほとんど勝負がついているから楽しめるんです。
番狂わせが起こりにくいので変なテンションで試合に挑まなくていいし、横にいる人に対して「こいつに負けたくない。」という気はありますが「こいつをなんとか出し抜いて。」というか、普段レースでは相手の裏をかくことを考えているじゃないですか。勝負に対してダーティな「どうして相手を出し抜いたろか。」という考えがあるんですよ。
コンテストは「ここまでやったんだからあとは楽しむだけ。」という感じですね。
自転車と対極のスポーツがボディビルですから、自己の二面性が出せるんですよ。
コンテストが非常に楽しい。
○中武選手にとってボディビルとは? 何ですかね。出たがりの僕の欲求を満たしてくれるスポーツですね。
○2003年の目標は? まずは、ミスター大阪。けちのつきようのない形で大阪を。これは、全日本につながると思います。
今年は75kg。2003年は77kgで同じ仕上がりをしたいですね。
○好きな言葉 有言実行。
○ボディビル以外の趣味は? バイクです。高校時代、16歳からやってます。
○若いトレイニーたちに一言 僕のスポーツの成功哲学ですが、5つあります。
まず、@イメージする。自分がどうなりたいか。例えばミスター大阪なら取ったときのイメージを浮かべる。Aそして、何年以内にするのか計画を立てる。B実行する。C継続する。どんな厳しいトレーニングをしても3日坊主なら結果は出ない。D一番大事なこととして、自分を信じ、やり遂げるという信念を持つこと。
これを頭に叩き込んでトレーニングすれば、結果は付いてきます。
○BIG TOEにも何か一言 BIG  TOEさんは、コンテストビルダーをやってたわけじゃないですか。本当のボディビルを御存知でしょうし、厳しいトレーニングと減量をしている選手の辛さもわかるでしょうから、よく「お前本当にコンテストに出たことあるんか?」と言うような人が評価をしたり、ジャッジをしたりするじゃないですか。「それは違うやろ。」と言うのをいい意味でフォローしてくれるような記事を書いて欲しいですよね。
傍目で見るのもいやですが、自分がそういうジャッジされたらいやですからね。
選手は、そのスポーツが好きで苦しい練習に耐え、食べたいものも食べずに、それにエントリー料を払ってステージにあがっているわけじゃないですか。ですから、それを見ているジャッジというのは、選手以上にそのスポーツを愛してないとジャッジなんて出来ません。本当にボディビルを愛している人にジャッジをしてほしいですね。
見ているお客さんもお金を払って見にきているわけですが、そういうアマチュアスポーツってほとんどないですよ。
結局、ボディビルを良くするも悪くするもお客さんであり、選手であり、ジャッジであるんです。そのバランスがとれスポーツを愛する気持ちがなければ盛り上がらないですよ。
最近のコンテストを見ていると、大会の進行に気をとられすぎて見落とされ涙を呑む選手も多くいるように思います。確かにそのコンテストを目指して厳しい練習に耐え、食べたいものも食べずに節制してきた成果が、ステージでの数分間で問われるわけですから審査員の皆さんもじっくりと時間をかけて公正な審査をして欲しいですね。(BIG TOE)
今日は、お忙しいところ貴重な時間をさいていただきありがとうございました。プロのスポーツ選手の話だけあって若いトレイニーだけでなくベテランのトレイニーにとっても得るところが多い内容だったと思います。何事にもポジティブで前向きな姿勢が勝利につながるんですね。
私も初心に戻り、中武選手の「5つの成功哲学」を実行しないといけません。
中武選手には2003年のミスター大阪ではぶっちぎり優勝を。そして、東京で行なわれるミスター日本での活躍を期待しています。
また、B&Fの宴会部長としての打ち上げでのいっそうの活躍も期待しています(笑)。
ありがとうございました!!(BIG TOE)





(写真撮影協力・トレーニングジムB&F)